【第7回/全7回】合格発表、そして…(最終回)

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「終わらない明け番」のような日々

試験の結果が出るまでの間、私はあらかじめ5月末までの有給消化と欠勤届をセットしていました。もし不合格だったとしても、すぐに職場に戻ることは会社に伝えてあります。

それは慎重というより、とにかく「同じことを二度やりたくない」という一心からでした。もし落ちて、また数ヶ月後に同じ書類を集め、同じ試験勉強をする……。そんな面倒なこと、あまりやりたくない。だからこそ、一発で決めるための時間を確保し、万が一の戻り道も事務的に確保しておく。それが私なりの「備え」でした。

そんな静かなプレッシャーの中、ついに「その時」がやってきました。

合格発表は郵送で届くのを待つつもりでしたが、日常は突然動きました。タクシー仲間のグループLINEで、個人タクシーの先輩から「番号、発表されているよ」と一報が入ったのです。急いでサイトを確認し、画面に並ぶ数字の中に自分の受験番号を見つけた瞬間。込み上げたのは歓喜よりも、巨大な「安堵」でした。

「ああ、もうあのひっかけ問題に悩まなくていい。あの面倒な事務手続きを、またイチからやり直さなくていいんだ……」

肩の荷がどさりと降り、ようやく「個人タクシー・まりおん」としての道が確定した瞬間でした。合格した以上、もう会社に戻る理由はありません。10年半勤めた法人ドライバーとしての生活に、本当の意味でピリオドが打たれたのです。

ところが、現実はここからが独特でした。合格が決まったからといって、翌日から自分の車で営業できるわけではありません。組合からは「本格的な準備や手続きは、数週間先からになります」という事務的なアナウンス。

ここから、「明け番の日がずっと続いている」ような、不思議な日々が始まりました。 仕事としてのハンドルは握っていませんが、やることはそれなりにありました。

ちょうど春休みに入った子供のために昼食を作ったり、家の用事を済ませたり。

そして、これからの個人タクシー経営に役立てようと、AIの勉強に没頭する毎日。

色々オンラインで話を聞いているとまれにネットワークビジネスのお誘いなんかも来たり…もちろんお断りしてますけどね。

ただ、この期間は「絶対に事故や違反を起こせない」という理由から、自家用車も一切乗らないと決めていました。普段なら休みとあらば車で遠出をしていましたが、それもできません。

近所のスーパーまで歩いて買い物に行ったり博多や天神に出る時も電車やバスに乗ったりする毎日です。 「これだけ歩けば少しは痩せるかな」なんて淡い期待を抱いていましたが、在宅時間が増えると自然とお菓子を食べる時間も増えてしまい、体重計の数字は一向に変わりませんw

この「空白」に見えて、実は日常が淡々と流れていく数週間。

それは、これから一生一人で背負っていく「個人タクシー」という看板の重みを、

生活の中でじわじわと実感するための、ある意味で贅沢な、

ある意味でじれったい猶予期間です。

10年半の経験と、この準備期間で得た新しい知識を胸に、もうすぐ私は再び福岡の街を走り出します・・・がまだまだそれは先の話。

「実録・個人タクシーへの道」——完。

==次回予告(更新日未定)==

開業までのあれやこれやの日々

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