【第3回/全7回】私に期待しないで…

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【第3回】書類の山と、突きつけられるプレッシャー

個人タクシーへの道は、まず膨大な量の書類集めから始まります。 私は別に事務作業が苦手というわけではないのですが、とにかく「めんどくさがり屋」な性分なんです。仕事の合間を縫って役所や組合を回る日々は、それだけで気が遠くなる作業でした。正直、この時点ですでに「やっぱり面倒くさいな」と腰が重くなっている自分がいました。

中でも、会社に発行をお願いしなければならない「在職証明書」を手にする時は、これまでとは違う種類の変な汗が出ました。この書類を申請するということは、事実上、会社に対して「私は近いうちにここを辞めて、独立します」と宣言するようなものです。

事務員さんに書類の発行をお願いしたところ、「えー、さみしい」と一応引き止めてくれました。社交辞令かもしれませんが、そう言ってもらえるのはありがたいものです。しかし、その翌朝、出勤して早々に社長から「個人取るの?」と短くストレートに声をかけられた時は、一気に現実へと引き戻されました。

応援してくれているのは分かりますが、まだスタートラインに立ったばかりの身としては、これがかなりのプレッシャーになるんです。さらに困ったのは、そこからの噂の広まり方の速さでした。数日も経てば、社内ではなぜか「もう試験に合格した」みたいな話にまで飛躍していました。人の噂というのは本当に尾ひれがついて広まるのが早くて、正直ちょっと怖いなと感じたのを覚えています。

「まだ本格的な勉強も始めていないのに……」という私の困惑をよそに、事務的な手続きだけは容赦なく続いていきます。特に「運転記録証明書」の手続きには、役所仕事ならではの面倒くささがありました。警察署に行けばその場で発行してもらえるのかと思いきや、署内には申込用紙があるだけ。実際の支払いはわざわざ郵便局まで行かなければならず、手元に届くまでに1週間ほど時間がかかるという二度手間、三度手間。

「あっちへ行かされ、こっちへ行かされ、あげくに待たされる」 そんなボヤきが止まりませんでしたが、一つだけ、書類が届いて良かったことがありました。一緒に発行された「SDカード」です。

そこに記されていたのは、11年無事故無違反という記録。 もちろん、この10年以上の間に、避けようのない「被害事故」に遭ったことは何度かあります。でも、自ら事故を起こすことは一度もなかった。11年間、福岡の街で毎日ハンドルを握り続けて、自分に非がある事故も違反も一つもなかった。その事実が公的に証明されたことで、自分の仕事に少しだけ自信が持てた気がしました。

重たい事務作業と周囲のプレッシャー。それらを背負いながら、私はこの11年の誇りを胸に、最大の難関へと進むしかありませんでした。

==次回予告==

いよいよ勉強会!!法令?許認可?なにそれおいしいの??

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