タクシードライバーにとって一番ドキドキする瞬間といえば、やはり「思いがけない長距離のお客様」に出会った時です。
今日は、そんな長距離タクシーにまつわる、世界の規格外なギネス記録と、日本国内でのリアルな長距離事情についてお話しします。
1. 【世界編】もはや冒険!メーター料金1,000万円超えの世界一周タクシー
世界で最も長い距離を走ったタクシーの記録をご存知でしょうか?「隣の県まで」なんてレベルではなく、なんと大陸を横断してしまった猛者たちがいます。
2011年、イギリスの男性3人組が「It’s on the Meter(メーター回しっぱなし)」というプロジェクトを立ち上げ、中古のロンドンタクシー(ブラックキャブ)で旅に出ました。
- ルート: イギリス・ロンドンを出発し、ヨーロッパ、中東を抜け、アフリカ大陸を縦断して南アフリカのケープタウンへ。その後も旅は続き、最終的にシドニーまで到達。
- 総走行距離: 約70,000km(ギネス記録認定)
- 推定料金: メーター換算で約8万ポンド(当時のレートでなんと1,000万円以上!)
もちろんこれはイベントとしての挑戦ですが、国境を越え、砂漠を走り、何度も故障を乗り越えての記録です。もし自分がこの依頼を受けたら……メーターの数字が上がる嬉しさよりも、タイヤの摩耗と自分の腰の痛みが気になって夜も眠れなくなりそうです。
2. 【日本編】福岡から東京へ!?国内のガチな長距離利用
では、海を渡らない日本国内ではどうでしょうか。実は日本でも「新幹線より高いタクシー代」を支払って大移動するケースは実在します。
例えば、ここ福岡(博多)から東京までタクシーに乗ったとしましょう。
- 走行距離: 約1,100km
- 所要時間: 高速道路を走り続けて約12〜15時間
- 推定料金: 約35万円〜40万円(+高速料金)
「なぜ飛行機や新幹線を使わないの?」と思うかもしれませんが、これにはタクシーならではの理由があります。 「台風や大雨で新幹線が止まってしまい、どうしても外せない会議がある」「深夜で他の交通機関がすべて終わってしまった」「大切なペットと一緒に気兼ねなく移動したい」など、緊急時や特殊な事情がある時に、ドア・ツー・ドアで移動できるタクシーが選ばれるのです。
私自身、同郷である静岡までの依頼がもし来たら……距離にして約800km。気合を入れてハンドルを握るしかありませんね!
ちなみに、聞いた話ですけど、福岡→関空は28万円らしいですw
3. ドライバーのリアルな壁「ルールと帰り道」
もし明日、「東京までお願い!」というお客様が現れたら、ドライバーは「はい、喜んで!」と即答できるかというと、実はそう簡単な話ではありません。日本には法律による厳しいルールがあります。
① 営業区域のルール タクシーは「出発地」か「目的地」のどちらかが、自分の許可された営業エリア内でなければいけません。福岡のタクシーなら「福岡から東京」はお乗せできますが、東京で降ろした後に「東京から横浜」へ行くお客様を拾うことは法律(区域外営業)で禁止されています。
② 孤独で長〜い帰り道(空車回送) つまり、東京でお客様を降ろした後は「回送」にして、空っぽの車で福岡まで帰ってこなければなりません。帰りの高速代はお客様と交渉になるケースが多いですが、何十時間も一人で運転して帰る体力勝負になります。
③ 労働時間の制限 プロのドライバーには、過労運転を防ぐために厳格な労働時間や休憩のルールが定められています。あまりに遠方だと、途中で宿泊が必要になったりして、物理的に引き受けられないこともあるのです。
まとめ 夢のある長距離タクシーの世界ですが、その裏にはドライバーの体力と法律の壁が潜んでいるという、ちょっとした裏話でした。
私自身も、今年7月の個人タクシー開業に向けて着々と準備を進めています。真新しい行灯を乗せて走り出したら、いつかものすごいお客様に出会う日が来るかもしれません。その時は、安全第一でどこまでもご案内したいと思います!!



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